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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)839号 判決 1948年12月14日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人植木昇の上告趣意は末尾添附の書面記載のごとくであって、これに對する當裁判所の判斷は次のとおりである。

同第一點について。

刑法第一九七條の公務員の賄賂収受罪について刑事訴訟法第三六〇條第一項により「罪ト爲ルヘキ事実」を判示するには、公務員であることを判斷することのできる具體的事実を示してその者が職務に關し賄賂を収受した事実を説明すれば足りるのであって、公務員たることの資格が認められる法令上の根據まで示す必要はない。原判決は被告人が京都拘置所の看守を拝命して津山刑務支所に勤務中職務に關し金員の供與をうけて賄賂を収受した事実を説明しているのであって、看守は監獄官制第三條第八條によって公務員であることが判斷され得るのであるから、原判決において右のごとく被告人が看守であることを判示している以上原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、刑事訴訟法第四四六條により主文のとおり判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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